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知的財産権の契約書の作成方法とひな形

契約実務の資料を公開します。


契約書のひな形

知財関連の契約書に特に参考になる資料


文部科学省が作成した共同研究の契約書のひな形、解説集「さくらツール」がとてもすばらしいのでシェアします。


大学等における知的財産マネジメント事例に学ぶ共同研究等成果の取扱の在り方に関する調査研究~さくらツールの提供~(文部科学省サイト)


共同研究契約書のひな形とは?



ここでいっている共同研究契約というのは、大学と企業との間の契約です。


大学と企業がなんで契約するかというと、大学でなされる研究の成果を企業がビジネス化することで、いわゆる産学連携をなすためです。「餅は餅屋」といいますが、たとえば大学でないとできないような研究で特許がとれたりしたら、それを企業がビジネスに活用して事業化、収益化していくわけですね。



なぜ契約書のひな形が必要なのか?

同サイトの「さくらツール」総論という資料によると、

「しかしながら、大学等と民間企業との間で共同研究等成果の取扱いを決定していく際に、大学等の担当者の契約交渉のスキルが十分でない場合等においては、文部科学省が平成14年に提示した共同研究契約書の様式参考例4による硬直的な契約交渉が行われているとの声があります。」  (「総論」1ページより)

とあります。



つまり、契約には本来バリエーションがだせるはずなのに、あまり契約に詳しくないばっかりに、いろいろアレンジした契約ができず、結果的に契約の内容がパターン化(硬直化)してしまっているのではないか、というのです。



バリエーションがなぜ必要なのかというと、大学の研究によって、研究成果(ノウハウとか知的財産権)が出てきたとき、その取扱いや帰属がどうしても問題になります。つまり「成果は誰のものか?」ということです。

「成果は誰のものか」という問題には絶対的な正解がなく、交渉次第で選択肢が広がります。



選択肢があることで迷うともいえるし、交渉のしがいがあるともいえますが、複雑であるがゆえに、絶妙な契約がむずかしくなる。むずかしいからつい「とりあえず共有」という結論に飛びつきたくなってしまうのかもしれません。(結果的にわずかなパターンのひな形に拘泥してしまう。)



契約のスキルが十分でないと、お互いにとって満足のいく交渉結果や、バランスの取れた妥協点、長い目で見て本当にその研究成果をいかせるような最適な帰属のありかたに、着地させることができない可能性があります。




そんな状況を解決すべく提案されているのがこの、文部科学省の「さくらツール」というわけです。




個人的に感銘を受けたのは、「総論」内でモデル契約書の類型の全体像が「各類型マトリックス」 にまとめられている点です。このようにひな形を分析的に配置して、俯瞰的、視覚的にひな形を分類できるというのは学習に

も効果的だし、素晴らしいアイデアだと思います。



時間のない方は、この「マトリックス」だけでもご覧になってください。



さらに、各ひな形には「解説付き」バージョンが提供されているので、それを読めば各条文の主旨を理解することもできます。


たとえば

第 13 条(知的財産権の帰属) 1 本共同研究に伴い得られた発明等(以下「本発明等」という。)に関する知的財産権(以下「本知的財産権」という。)は、甲に帰属するものとする。 

という条文にたいする解説として、

(解説) 本条は、本共同研究に伴って得られた発明等(以下「本発明等」といいます。)に関する知的財産権につき、大学に帰属すると定めたものです(第 1 項)。

のように、丁寧な逐条解説が入っています。



共同研究契約書の作成を目的としていますが、他の契約書にも応用できます。いわゆるライセンス契約は言うに及ばずですが、成果物に著作権などの知的財産権、ノウハウを含むような請負契約や、委任契約はたくさんあるからです。



こんなときにおすすめ



知的財産権の帰属や対価などを定める各種の契約書にも、考え方や条文の内容などがとても参考になるので、応用が可能な情報だと思います。共同研究契約や、ラインセンス契約、著作権等の知的財産権に絡む契約を扱う方は、一読をおすすめします。



大学等における知的財産マネジメント事例に学ぶ共同研究等成果の取扱の在り方に関する調査研究~さくらツールの提供~(文部科学省サイト)


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